DSC_0126

1. 有毒植物のオンサイト鑑別法の開発 

「食の安全を見る」ことをテーマとして、有毒植物鑑別法の開発を行っています。

山菜と有毒植物の誤食による食中毒は毎年発生し、死亡例も多くあります。

例えば、有毒植物であるイヌサフランは山菜のギョウジャニンニクと間違われ、誤食される事例があります。

他にもトリカブトやバイケイソウ等の有毒植物の誤食事例があります。

有毒植物の鑑別は専門家による形態の判別や有毒成分の分析などにより行われるため、熟練の技術もしくは時間を要します。

救急医療でも活用できる迅速かつ簡便な有毒植物の鑑別法の確立ができれば、中毒症状の初期治療の決定に寄与することができます。

私たちはDNA検出技術を用いて、オンサイト(その場)で簡便な鑑別法を開発しています。 

私たちの鑑別技術と共同研究先(豊橋技術科学大学の研究グループ)のマイクロ流路チップの技術を組み合わせることで、救急車などに配置し、誰でも迅速に鑑別できることができる検査キットの開発を目指します。 

2. 植物由来ナノ粒子による生物界間コミュニケーションに関する研究 

近年、植物由来のナノ粒子がヒトやバクテリアに機能する、すなわち生物界を超えた作用が近年報告されています。

例えば、ショウガ由来エクソソーム様ナノ粒子(Exosome-like nanoparticles, ELNs)に内包されたmicroRNA(miRNA)が腸内細菌に作用し、抗炎症作用を示すことが報告されています。

また、レモン由来ELNsがヒト肺胞基底上皮腺癌細胞であるA549細胞のTNF-related apoptosis-inducing ligand (TRAIL)を介したアポトーシスを引き起こすことにより、がん細胞の増殖を抑制することが報告されています。

生物界を超えたコミュニケーションが詳細にわかることで薬物送達システムや標的治療薬に応用することが期待されています。 

私たちは薬用植物の知識と資源を活用し、様々な植物からナノ粒子を単離しています。単離した植物由来ELNsについてライブラリーを作成し、細胞種に対する特異性を評価しています。

さらに、漢方薬の煎じ液の中にも同様のELNsが含まれているのではないかと仮定し、研究を進めています。これまで、ある生薬の煎じ液にELNsが含まれていることを確認しています。

さらに、ELNs画分からヒト遺伝子を標的とすると推定されるmiRNAの発現を確認しています。漢方薬の効き目に植物由来ELNsが関与している可能性について研究を進めています。 

3. 漢方生薬「茯苓(ブクリョウ)」の国産人工栽培法の開発

漢方薬の原材料である「茯苓(ブクリョウ)」の人工栽培法に関する研究を行っています。茯苓はマツに寄生する真菌であり、生薬原材料の使用量では3番目に多い生薬です。

桂枝茯苓丸や五苓散などの漢方製剤に配剤され、主に利水薬として用いられています。茯苓は医療用漢方製剤の約三分の一に含まれており、漢方薬には欠かすことができない重要な生薬です。

この茯苓の生産は野生品の資源枯渇に伴い、中国では人工栽培により行われています。一方、日本では菌糸の成長速度が遅いため、安定的な人工栽培法が確立できていません。そこで、当研究室では菌糸の多様性に着目し、新しい菌糸系統を見つけるための研究を行っております。 

茯苓はトリュフと同じように菌核が地中に埋まっているため、発見するのは容易ではありません。トリュフは豚が探してくれますが、茯苓は人間が鉄製の錐を地中に刺して探す、「茯苓突き」と呼ばれる手法で採取が行われます。

私たちは、フィールドワークとDNA解析技術を組み合わせ、新たな茯苓探索法を開発すると共に、人工栽培法の確立を目指していきます。 

More Stories
メンバー